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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
2019.04.25
田中雅美【スポーツコメンテーター/オリンピック水泳メダリスト】
アメリカで、コーヒーに開眼。
田中雅美【スポーツコメンテーター/オリンピック水泳メダリスト】
スポーツや選手の魅力をお茶の間にわかりやすく伝えてくれる田中さん。コーヒーの美味しさに目覚めたのは、留学先のアメリカだった。
コーヒーと〝出合った〟のはアメリカでした。大学卒業後、水泳のトレーニングのために約2年間、バージニア州に留学していた時のことです。地元のショッピングモールにあるコーヒーショップによく行っていました。特に娯楽施設もない地域で、練習帰りやオフの日にトレーニング仲間と一緒に行くそのお店が、唯一の憩いの場でした。そこでカフェラテを飲んだ時、ほっとするような香りと美味しさがとても好きになったのです。
日本にいた頃はずっとコーヒーの苦さを美味しいと感じられませんでした。それが、何故だかわからないけれど、そのカフェラテはすんなりと身体に入り、以来、ブラックでも飲むようになりました。寒い冬の時期には練習帰りにそのお店でホットコーヒーをテイクアウトすることもよくありました。 さらに、私がコーヒーにはまったのを見て、後輩たちがエスプレッソマシンをプレゼントしてくれたのです。それからは、ショップで豆を買って挽いてもらい、宿に帰って自分でいれるのが楽しみになりました。
妊娠中も1日1杯は、コーヒーを飲みました。
2000年のシドニー五輪が終わった直後、一度、引退を考えたことがありました。シドニーでは仲間のおかげで400mメドレーリレーで銅メダルを獲得することができましたが、個人ではとても不甲斐ない結果だったからです(100m平泳ぎ6位、200m 平泳ぎ7位)。でも、応援してくださる方々が大学や所属先のスイミングクラブにたくさん激励のお手紙を寄せてくださり、それを読んで心が揺らぎました。結果を出せなかった悔しさのまま、挫折のまま終わるのは、その方々にも申し訳ないし、自分でもこのままではいけないのではないかと思ったのです。
それで、大学卒業を機に自分を立て直すつもりでアメリカへ渡り、もう1回、オリンピックに挑戦しようと決めました。アテネ五輪(04年)を目指すという目標を掲げてトレーニングに打ち込んだ再出発の時期に、コーヒーとの出会いがあったというのは偶然ですが、なんだかちょっと面白いですね。
結局、最後のオリンピックであったアテネでメダルには届きませんでしたが、しっかり完全燃焼することができました。そして翌2005年、とても清々しい気持ちで引退しました。
現役を退いてからは甘いものをよく食べるようになり、その時にもコーヒーは欠かせません。コーヒーがあることでスイーツの美味しさも、コーヒーの美味しさもより引き立ちます。現在、1歳の娘がいますが、妊娠中もコーヒーがすごく飲みたくて。1日1杯だけは普通のコーヒーを飲んで、2杯目からはデカフェにしていました。
引退後、しばらくしてからスポーツコメンテーターやレポーターの仕事をいただくようになり、現在に至っています。自身の経験から、メダルの色や結果だけでなく、そこに向かっていく過程の選手たちの努力や思いを、自分なりの視点で伝えることができればと思って臨んでいます。
来年の東京オリンピックを控え、今年は韓国で世界水泳も開催されます。選手の皆さんには自国開催となる来年の東京大会に向けての高揚感を味わいながら、世界水泳のスタート台に立つ幸せをぜひ楽しんでほしい。そうすれば自己ベストも出るし、きっと結果もついてくるでしょう。私自身、最後のオリンピックでは本当に幸せな気持ちだったので、そう思うのです。
PROFILE
田中雅美(たなか・まさみ)
北海道生まれ。7歳で本格的に水泳を始め、中学卒業後に上京。1994年の日本選手権で100m、200m平泳ぎで二冠を達成。95年の日本選手権で100m平泳ぎの日本記録を11年ぶりに更新。96年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪、04年アテネ五輪に出場。アテネでは200m平泳ぎ4位入賞。05年に現役引退。「グッド!モーニング」(テレビ朝日)、「シューイチ」(日本テレビ)他に出演。俳優としても活躍している。