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COFFEE BREAK
世界のコーヒー-World-
店舗最多のカフェ・チェーン、ハイブリッドな形態にチャレンジ サンパウロから
国内で店舗数最多のカフェ・チェーン、ハイブリッドな店舗形態にチャレンジ。
Vol.125 ブラジル・サンパウロから。 新型コロナの感染が確認されてから約1年間で、ブラジルでは全国で約35万軒の飲食店が閉店に追いやられ、100万人以上の飲食業従事者が職を失った。各州で厳しい営業規制が敷かれているため、カフェの経営も困難を極めている。
そんな局面にありながらも、パラナ州の州都クリチバで2019年12月に1号店を開けたマイス・ウンは、この2年半で達成したフランチャイズ契約件数が211件、開業店舗数が59件(ともに2021年3月現在)とブラジルを席巻中で、もはや国内で店舗数最多のカフェ・チェーンへと急成長した。
ここサンパウロでの1号店が開店したのは2020年9月。店舗オーナーのマルシオ・ツェンさんは、以前から夫婦で営んできた健康食品店の片隅にわずか4.5㎡ほどのコーヒースタンドを設置した。パンデミックを機に、健康食品に加えて飲食の販売も行おうとフランチャイズを探し、マイス・ウンに行き着いたのだった。
台湾出身のツェンさんは、母国で展開される極小の飲食スタンドの営業形態を知っている。フランチャイズに求めたのは、何よりもオペレーションがシンプルであることだった。既に街で知られたフランチャイズでは面白みに欠けることも、新進のマイス・ウンに決めた理由だった。
バリスタ兼健康食品店員として新たに雇ったのは3人。うち1人が交代で、カフェスタンドでコーヒーを淹れる。タッチパネルで注文した客がスマホやカードで決済すると、バリスタはパネルに表示されたとおりに注文品を準備する。客が行った注文の内容は同時にオンラインでクリチバの本部にも報告される。
「この地区には高齢者住民が多く、タッチパネルやカード決済に不慣れな方も多いので、現金での支払いも受け付けています。しかし基本的にはキャッシュレス決済をお願いしています」とツェンさん、高齢者には自ら付き添ってタッチパネルでの注文の仕方を教えることもある。
営業形態が世界で受けているトゥーゴーであるのに加えて、パンデミックがマイス・ウンに急成長をもたらしたとツェンさんは見ている。客にとってトゥーゴーで楽しむコーヒーは社会的距離を保てるからだ。また、低金利が続くブラジルで、医者や弁護士などの事業者に、金融への投資ではなく、副収入にフランチャイズ店舗の経営を選ぶ人が増えていることもマイス・ウンの店舗数が急増している理由だ。
既存の店舗の中にスタンドを構えるのは、本来マイス・ウンが目指していた店舗形態ではない。地域をよく知り、新たなビジネスを始めたいツェンさんの意気込みにマイス・ウンが柔軟に応じた結果だ。しかし、そのサンパウロ1号店を参考にして、ツェンさんのようなハイブリッドな経営に臨む経営者も現れているそうだ。
サンパウロでは11店舗が営業中だが、フランチャイズの拡大はむしろ各州地方都市で進んでいる。トゥーゴーのスリムな経営が可能にした高級豆コーヒーの低価格化により、コーヒー消費のグルメ化が更に広がっていきそうだ。
Mais 1 ジャルジン・パウリスタ店 mais1cafe.com.br Alameda Lorena, 582, Jardim Paulista 営業時間 月~金)8:30~18:00、土)8:30~17:00