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COFFEE BREAK
インタビュー-Interview-
織田信成【プロフィギュアスケーター】
コーヒー好きの、スイーツ好き。
織田信成【プロフィギュアスケーター】
現役時代から柔らかく美しいジャンプに定評のある織田さん。趣味のお菓子作りがうまくできた日はコーヒーの美味しさも格別です。
コーヒーとの最初の出会いは高校3年生の時。スケートの練習のために数カ月間滞在したカナダでの出来事でした。当時はたった一人で初めての海外。ホームシックで毎晩、実家に電話する日々でした。そんな僕を気遣ってくれたのか、ホームステイ先のご家族が、地元で人気のカフェに連れて行ってくれたんです。そこで出てきたのが、ミルクとお砂糖がたっぷり入ったあったかいコーヒー。わぁ、美味しい! カナダにはこんな美味しい飲み物があるのか! と衝撃を受けました。僕が甘いもの好きということをホストファミリーも知っていて、選んでくれた一杯でした。この時のコーヒーの味は、ずっと忘れられない思い出です。
日本にいる時は紅茶しか飲んだことがなかったのですが、それ以来、コーヒーが大好きになり、ケーキなどスイーツと合わせる時は徐々にブラックでも飲むようになりました。
フィギュアスケートの試合会場には軽食と飲み物が用意されているスケーターズラウンジというスペースがあります。現役時代、僕はちょくちょくそこを利用していました。試合前にはまずコーヒーを一杯飲んで心を落ち着けてからウォーミングアップに向かい、試合が終わるとまたコーヒーでほっとひと息、というのが習慣になっていたんです。つまり、僕にとってのコーヒーは美味しい嗜好品であると同時に、心にスイッチを入れたり、落ち着いたりするための大切な飲み物なんですね。
ブラックの味を引き立てる、スイーツも大切。
現役を引退してからもコーヒーは毎日飲んでいます。朝は必ず飲みますし、子供たちが学校や幼稚園に行って、妻と二人でちょっと静かにできる時間に飲んだりもします。モカのような酸味のある豆が好みです。子供の頃からお菓子やケーキが好きで、ブラックコーヒーを美味しく飲むためにもスイーツは欠かせません。現役時代には体重管理のために"甘いものは週に一度のご褒美"と決めていたのですが、今は解禁ですし、食べるだけでなく、趣味として自分で作るのも大好きです。
昨年の自粛期間には時間がたっぷりあったおかげで、以前から作ってみたかったスイーツに次々と挑戦しました。母の日にはバラの形のアップルパイを贈り、なめらかプリンやパフェ、"ぐりとぐらのカステラ"なども作ってみました。本やネットに出ているレシピ通りにやってみてもなかなかうまくできないのがお菓子作りの奥深さです。分量をきっちり計るだけでなく、例えば焼き菓子であれば、使うオーブンや季節によって温度管理が微妙に違ってきたりするので、とても繊細で難しい。自分で最高だと思える仕上がりになるのに4、5回トライすることも珍しくありません。それだけに、うまくできた時にはもう涙が出るほど嬉しくて。その感激が冷めないうちにSNSに投稿したりしています。
今はアイスショーや試合の解説を中心に仕事をしています。現役時代の試合では、どうしたら高い点数を取れるかをポイントにおいてプログラムを考えますが、アイスショーで一番大切なのは、観に来てくれたお客様にどれだけ特別な気持ちになってもらえるか、ということ。自分の魅力って何なんだろう、とか、皆さんに喜んでいただけるスケーティングについて、すごく考えるようになりました。求められる限りは膝が壊れるまで滑りたいと思っていますが、いつか自分のカフェをオープンしたいという夢もあるんです。
1987年生まれ。大阪市高槻市出身。元スケート選手の母のもとで7歳からスケートを始める。柔らかく美しいジャンプを武器に2005年の世界ジュニア選手権で日本人男子として2人目のチャンピオンとなる。2006年四大陸選手権優勝、2008年全日本選手権優勝、2010年バンクーバー五輪で7位入賞。2013年の全日本選手権終了後に現役を引退し、現在はプロフィギュアスケーター、解説者、タレントとして活躍中。