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COFFEE BREAK
文化-Culture-
コーヒー歴史トリビア・クイズ 〈文学におけるコーヒー2〉
謎めいているからおもしろい!コーヒー歴史トリビア・クイズ
〈文学におけるコーヒー2〉
Question1
イギリスの詩人・小説家ジェフリー・セフトンが書いたソネット(14行からなる定型詩)の中で、コーヒーと対照的に描かれているものは次のうちどれ?
a ワイン
b ウィスキー
c 阿片
d タバコ
Answer1 c 阿片
詩のタイトルは『天下無双の君主、カウへー王に捧げる』。冒頭から〈阿片は去れ。それは好奇心をそそる誘惑/脳を曇らせるは幻想、実在せぬ/かかる薬剤にてこまやかなる五感を堕落させてはならぬ〉と痛烈に批判。詩は〈もっと確かな手にて、つきまとう心配事を払い除けよ〉と続き、コーヒーを王に見立てて、〈民主的なる君主〉〈甘美なる東洋の王様〉などと賛美する言葉が連なる。
Question2
ジェームズ・ウィットコム・ライリーの『お袋の味のコーヒー』で描かれた、主人公の男の母親のコーヒー作りに関する奇妙な行動とは、次のうちのどれ?
a コーヒー豆の一粒一粒に祈りの言葉を捧げてから挽く
b 沸いたコーヒーポットに卵を割って入れる
c コーヒーを十分に冷ましてから飲ませる
Answer2 b 沸いたコーヒーポットに卵を割って入れる
ジェームズ・ウィットコム・ライリー(1849-1916)は、アメリカ・インディアナ州出身の詩人、作家。この詩は20年ぶりに故郷に戻った男が「お袋の味のコーヒーをどうぞ」という看板に惹かれて入った店で実の母と偶然再会を果たすというストーリーを追っている。男の回想シーンに〈俺は、お袋の腕にぶら下がっている。ポットが沸くと、お袋は卵を割って中に入れる‥‥〉とある。卵には液体の濁りを取る清澄作用があるので、そのための工程だったのだろうか?
Question3
ニューヨークのジャーナリスト、アーサー・グレーの『ブラックコーヒーを飲みながら』(1902)の中で、「アロマを持つ唯一の生き物」と称えられるコーヒーに対し、「人を惹きつける魅力なし」と貶される飲み物は?
Answer3 紅茶
〈カリブ海の勇敢なる海賊。軍隊の行進、広大な平野を行く。孤独な山師、山々を放浪する。狩人の山小屋、その香りがすべてを変える〉と、コーヒーに対しては修辞の限りを尽くしてイメージを膨らませているのに対して、紅茶については〈紅茶は何のため。ただあらわすは、穏やかなる仲介者。面白みなき精神の覚めた状態(略)のどを鳴らす猫、老女のお喋り〉と手厳しい。著者グレーには、コーヒーだけでなく紅茶を賛美する著書もあるのだが。それにしても、引き合いに出された猫や老女こそいい迷惑‥‥。
Question4
スコットランド人の哲学者で政治家のジェームズ・マッキントッシュ卿(1765-1832)が語ったとされる次の言葉の空欄を埋めよ。「おしなべて人間の○○は、当人が飲むコーヒーの量に比例する」
Answer4 知能
フランス革命を批判したエドマンド・バークの『フランス革命の省察』に対して『フランス擁護論』を著し、批判したことで知られるマッキントッシュ卿は、大のコーヒー好き。インドのボンベイ(ムンバイ)で裁判官を務めたキャリアがあり、ここでも独自のコーヒー体験があったか? 「理解を深めたいならコーヒーを飲みたまえ」もマッキントッシュ卿の言葉。
Question5
コーヒーからインスピレーションを与えられて作品を書いたと言われるボルテールがその晩年、1日に飲んだとされるコーヒーの量は次のうちどれ?
a 10杯
b 25杯
c 50杯
Answer5 c 50杯
ボルテール(1694-1778)はフランス・パリ出身、啓蒙主義を代表する哲学者、文学者、歴史家。実際にボルテールが飲んでいたのはコーヒーとチョコレートを混ぜ合わせたものだったとの説があるが、それにしても異常な量で、医者からは「あなたは大好きなコーヒーに殺されるだろう」と警告されたという。これに対し、ボルテールがかの名言──「あなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」──で返したかどうかは不明。
Question6
コーヒー愛好家としてはボルテールと双璧と評される、19世紀フランスを代表する小説家は?
Answer6 バルザック
『ゴリオ爺さん』などの作品で知られるバルザック(1799-1850)はフランス・トゥール出身。深夜零時に起床し、12時間ぶっ通しで執筆するのを習慣とし、創作中は絶えずコーヒーを飲んでいたという。その著作『現代の刺激物についての論文』の中で、コーヒーが自らに引き起こす反応について「戦場における大軍隊の大隊の戦闘ぶり」になぞらえ、次のように述べている。〈記憶が軍旗を風になびかせ全速力でよみがえる。比喩的表現の軽騎兵が堂々と戦闘態勢につき、論法の砲兵隊が敏速に砲列と弾薬を運び来たる。機知の矢柄が起立し始め、まさに狙撃手のごとくである‥‥〉何やら勇ましく壮大な軍記物語が書けそうだ。