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COFFEE BREAK
文化-Culture-
3人の著者が3カ国で取材!女性カフェオーナーたちの物語。
コーヒーやカフェに関連する本は海外でもたくさん出版されていますが、日本語に翻訳されるものはわずか。
そこで、海外で話題をさらったとっておきの本を、著者インタビューと共に紹介します。第1回はドイツ発、カフェの魅力が満載のヴィジュアルブック。20人の女性カフェオーナーたちのアイデアが次々と披露されていきます。
2016年にドイツで出版されて以来、順調に版を重ねている『シュガー・ガールズ』。ドイツ、オーストリア、スイス(ドイツ語圏)の20人の女性カフェオーナーに取材したヴィジュアルブックだ。全く畑違いの仕事についていた女性たちが一念発起して独立し、カフェを開くまでの物語も読み応えがあるが、カラフルな写真でいっぱいのページを眺めるだけでも、心が躍る。コーヒーに合う自家製ケーキのレシピや、自宅でも真似したくなるインテリアのアイデアなども満載。各地の美味しいカフェガイドとしても使うことができる、三度美味しい本。この本を手がけたのは、3人のコーヒー好きの女性たちだ。
「いつか、自分のカフェを開きたい」。こんな夢を思い描いている女性は、多いのではないだろうか。女性誌編集者のヤナ・ヘンシェルさんと恋愛小説の作家でもあるマイケ・ヴェルクマイスターさんは、女性に取材する機会が多く、カフェへの夢をよく耳にしていたのだと、きっかけを語る。
「女性が経営するカフェには、たくさんの物語が隠れているのかも?と盛り上がり、この本のアイデアが生まれたんです」と、マイケさん。旅の前には、まず評判のいいカフェを調べるという、大のコーヒー好きだ。40以上のカフェをリサーチし、取材中はどこの店も自家製のケーキなどが美味しくて、本が出る頃にはすっかり太ってしまったと笑う。
「いいカフェは星の数ほどありますが、カフェを開くまでの物語や、内装が似通ったものにならないよう、同じ都市に集中しないように、バランスをとって選びました」とヤナさん。
この人たちは、わたし。読者の共感を呼ぶ物語。
取材した全店がお気に入りだという3人だが、特に思い出深いカフェとしてあげてくれた店の一つが、フランクフルトの公園のキヨスクを改装した小さなカフェ「ファイン」だ。
朝はコーヒーがないと始まらないという、フォトグラファーのウルリケ・シャハトさんも、取材した中でダントツの美味しさと言う。オーナーのエルケさんはシングルマザーとして収入への不安はあったものの夢を諦めきれず、公務員を辞め、開業した。いれたてのコーヒーとケーキが焼ける香りに包まれた、小さいながらも一国一城の主であることを満喫している彼女の笑顔に、惹きつけられる。
現在までに5刷を重ねた。フェイスブックのファンサイトには「この本をプレゼントされて、カフェを始めた」という愛読者からの書き込みも! 続編を熱望する声も多い。国際版へのオファーもあったが、断ったのだという。「この本が成功したのは、読者の共感を呼んだから。オーナーに自分を投影させて読んでいるんです」。母国語圏なら読者の好みもわかるが、世界では難しいとヤナさんは分析する。
「でも日本にも素敵な女性オーナーのカフェは多そうよ!」とマイケさん。日本のコーヒーも美味しそうだけど渡航費が......と、コーヒーを囲んで、終わらない3人のおしゃべり。コーヒーをめぐる万華鏡のような世界がぎっしり詰まった本『シュガー・ガールズ』。著者である3人の〝ガールズ〟の間に流れる楽しいハーモニーが、この本の魅力にも影響しているようだ。
著者は出版業界で働く女性3名。ドイツ・オーストリア・スイスというドイツ語圏3カ国で、様々な仕事を辞め、カフェを開きたい!という夢を叶えた20人の女性をレポートした本。オリジナルレシピやインテリアのアイデアも数多く紹介しています。
出版社:Callwey/価格:29.95ユーロ/言語:ドイツ語/オールカラー176ページ/22 x 2.5 x 28.7cm
著者
Meike Werkmeister マイケ・ヴェルクマイスター
ミュンスター生まれ。ライターとして様々な雑誌に寄稿しているほか、2016年からは小説も発表。現在2作目を準備中。
Jana Henschel ヤナ・ヘンシェル
ベルリン生まれ。ベルリンの大手新聞社で働いた後、欧州最大の女性週刊誌BILD der FRAU編集部で記者を務める。
Ulrike Schacht ウルリケ・シャハト
ハンブルク生まれ。フォトグラファーとして多彩な媒体で活躍するほか、同出版社から『Garden Girls』なども出版。
①フランクフルト最小のカフェ。キヨスクだった頃の名残の小さな窓からコーヒーを手渡す。レトロな雰囲気に蚤の市などで見つけた、使い込まれた家具や器が似合う。
②黒板にはコーヒーをはじめとする飲み物や自家製ケーキのメニューが。旬の食材を使った充実のラインナップ。冬にはホットワインや自家製シュトレンも提供する。
「ファイン」のコーヒーの美味しさは特筆モノ! キヨスク時代から来ているお年寄りから若者まで、エルケさんの人柄に惹かれた幅広い客層もいい感じ。公園のそばなので夏にはコンサートを開催するなど、大変な賑わいです。
③身近にある材料で簡単にできるインテリアのアイデアを手順を追って解説。簡単にできる苔テラリウムや、カフェポットを使ったフラワーアレンジメントなども紹介。
④語り口調でまとめた本文。映画のセットで働くオーナーのアネさんは"職業病"で、常に内装を新しくしていないと気が済まないと笑う。開店後の苦労も語られている。
⑤蚤の市が好きで、古い家具や器などを集めていたアネさん。半年以上かけて店舗を改装。壁には色を塗り、歴史を経た家具や小物をたくさん並べて温かみのある空間に。
企画段階で取材させてもらったお店「エリザ」。インテリアスタイリストでもあるアネさんの店には、真似したくなる内装のアイデアがいっぱい。ここを最初に取材したことで、本全体のスタイルが決まりました。
⑥シックな内装のこの店では、空間をあえて大きくとり、同色のカジュアルなファッションに身を包んだサンドラさんの全身を撮影している。最初の見開きの左ページは、常にカフェ空間内でのオーナーのポートレート。この1枚で、店の印象とオーナーの人柄が端的に伝わる。
⑦本文では、眼鏡業界で活躍していたサンドラさんのエピソードが。生豆輸入業者の試飲会に誘われ、趣味で豆の焙煎を始めたという開店のきっかけ、資金調達や家具職人の夫と共に支え合った開店当初の苦労話、65名のスタッフを抱える現状についても語られる。
インテリアがスタイリッシュで、どこを撮っても絵になる「レストバー」。焙煎所からスタートしたのでコーヒーの味も最高。創業2003年、現在は4つの支店を持つ、この本の中では最も商業的に成功している店です。
Let’s Start Our Coffee Break
「味にうるさいと言えばマイケよ!」とウルリケさんが言えば、「あなただって、夫がいれたコーヒーがないと朝が始まらないってのろけてるじゃない」とマイケさん。コーヒーは3人の日常に欠かせない。
ひと振りして、私流コーヒーに。
ヤナさんが10年以上使っているシナモンパウダー入れ。冬場はシナモンをちょっとかけたコーヒーが好きなんだそう。夏場は粉砂糖を入れて。最近はデカフェに凝って様々な種類を試しているとか。
いつでもどこでもコーヒーと一緒。
ウルリケさんがマイケさんから2年前に贈ってもらったという、テイクアウト用のリユースカップ。仕事柄外でコーヒーを飲むことも多い彼女に、ぴったりの贈り物だ。
お気に入りカップは夫からの贈り物。
マイケさんが、誕生日祝いに夫に贈られて以来、毎日使っているという琺瑯のコーヒーカップ。疲れている時でも手に重すぎず、口当たりが良いところが気に入っているそうだ。